園主
2023年8月23日
君たちはどう生きるか。私はこう生きている。
果樹園なすのさんちのSMSでは先行して畑の現状をお伝えしています。
正直、今年のリンゴは壊滅という言葉がふさわしい。
自然になるべく負荷をかけない農法をしていても、周りの農家さんよりも自然の被害を受けている自身の畑を見ると「なんだかなぁ」という気持ちに襲われてしまいます。
恥ずかしげもなく胸を張って「すごい真面目に生きています!すごい真面目に取り組んでいます!」と大声で言えるくらい真面目に考えてやっています。
もちろん、減農薬や自然農法の先人たちに比べれば僕の取り組みなどまだまだだと身の程を知った上ででも自分のできうる限りは尽くしています。
それでも稀にこういった年はきてしまうのです。
ナイーブな話から入ってしまいましたが、こういう思いをしてでもそれを超越する「自分のやりたいこと」というのが「農」にはたっくさん詰まっていて、なかなかやめられないのです(笑)
私のやりたいこと、それは「生き物を知ること」。
もともと昆虫少年だった私ですが、昆虫少年を卒業しなぜ農家になったのか。
それは、「観察だけでは自然の声が聞こえない」と思ったからでした。
自然観察はその時出会った生き物とのほんの一瞬のふれあいだけで、彼らを知った気にどうしてもなれなかったのです。
多分、私の一番の根幹は「自分が自然に生かされている」という感覚が強くあって、自分が生きていくためには自然を知り自然とともにあることが間違いようのない心理だとどこか核心していたのだと思います。
もちろん、現代農業を否定しているのではなく、私個人の感覚として「自然の循環の中で生きていたい」それが一番心地良い生き方だと実感しているのです。
自然の循環の中で生きるには生き物一つ一つがどういう生き方をしていているのかを知ることが大切でそれは日常的に接していないと絶対に知ることができません。
農業はそれにとても適しています。
例えば、「害虫」と呼ばれる虫たちはなぜ作物を食べてしまうのかとても不思議でした。
なので彼らの生活スタイルや行動パターンをずっと観察していたのです。
そうすると、彼らの好みがわかってきて、彼らの好みから作物の状態を外してあげると作物の大半は虫に食べられることがなくなってきたのです。
「害虫」は元々自分たちの餌の植物があるのにわざわざそれを差し置いて作物を食べてしまうのには「訳があった」のです。
これを発見したとき一人畑で歓喜の雄叫びを上げたことを今でも覚えています(笑)
「自然の中で生きていていいよ」という許可が降りたように感じた瞬間でした。
「農業=最高の自然観察対象」
私の本質は農家ではないのかもしれません(笑)